加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう)とは?
ものが歪んだり欠けて見えたりする病気です
加齢黄斑変性症とは、ものを見る時に大切な働きをする「黄斑」が衰えることで、ものが歪んだり、欠けたり、ぼやけたり、暗く見えたりする病気です。黄斑の老化が主な原因で、高齢の方ほど、加齢黄斑変性を発症するケースは多くなります。日本では、70歳以上の方のうち、5人に1人程度の方が、加齢黄斑変性症のリスクがあると言われています。
加齢以外にも生活習慣が原因で起こることも
加齢以外にも、食事、肥満、喫煙などの生活習慣が原因で発症することがあり、特に食生活は、加齢黄斑変性症と深い関わりがあるとされています。欧米型の食生活は、加齢黄斑変性症のリスクを高めると考えられています。このことは、欧米人の中途失明の原因疾患の第1位が、加齢黄斑変性症であることからも分かります。日本でも食生活の欧米化にともない、加齢黄斑変性症が、中途失明の原因疾患の第4位にあがっています。
加齢黄斑変性症の症状
主な症状
- ものが歪んで見える
- ものが欠けて見える
- ものがぼやけて見える
- ものが見えにくい
- 視界の中心部分が暗く見える
加齢黄斑変性症の種類
萎縮型加齢黄斑変性症
「萎縮型加齢黄斑変性症」とは、加齢にともない、黄斑の組織が少しずつ萎縮していくタイプです。ゆっくりと進行するため、症状に気づかない患者さんもおられます。また、委縮が中心窩に及ばない限り、視力に影響はありません。
残念ながら、現在、この萎縮型に対する有効な治療方法はありませんが、滲出型に移行するケースもあるので、定期的に経過観察する必要があります。
滲出型加齢黄斑変性症
「滲出型加齢変性黄斑症」とは、脈絡膜新生血管が発生することで、黄斑の機能が阻害されるタイプです。日本人ではこの滲出型が多く見られます。症状が進行すると急激に視力が低下するので、注意が必要です。滲出型に対しては、「抗VEGF薬療法」という注射による治療が中心となります。
加齢黄斑変性症の検査
眼底検査
黄斑の委縮や脈絡膜新生血管の有無など、眼底にある網膜のさまざまな異常を検査します。
蛍光眼底造形
蛍光色素を含む造影剤を腕の静脈に注射して、眼底カメラで、網膜の状態や脈絡膜新生血管の有無などを確認します。
OCT検査
OCTを使って、網膜の断面の状態を確認します。脈絡膜新生血管の有無のほか、大きさや形、深さなども検査することができます。
加齢黄斑変性症の治療
抗VEGF薬療法
加齢黄斑変性症の原因の1つに、VEGF(血管内皮増殖因子)という物質の関与があげられます。このVEGFの働きを抑えるお薬を、眼内(硝子体)に注射することで、脈絡膜新生血管の成長などを抑えます。通常、1ヶ月に1回、合計3回注射し、その後も継続的に間隔を調整して注射します。お薬とレーザー治療を併用で治療することもあります。